腸管免疫の特異性 寛容とか誘導とか

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今回は生物というか医学っぽい話
授業で習ったことのメモを発掘してきた。
外界に接している腸管免疫には他の免疫と異なるユニークな特徴がある。
たとえば経口免疫寛容である。
食物抗原や腸内常在細菌は非自己であるが、これらは生体の維持に必要な抗原であるので消極的応答がなされ、排除されないようになっている。この寛容が成立しないと食物アレルギーになる
経口免疫寛容の様式は3つあり、1つは制御性T細胞によるもの、1つはアナジー化によるもの、1つはアポトーシスによるものである。
抗原が低容量の場合、樹状細胞はMHCクラスII分子に抗原をのせて提示するが、このとき
TGF-βとレチノイン酸を与えることでナイーブT細胞を制御性T細胞(Treg)へと分化させる。
これらが抗原を再認識すると、攻撃的なサイトカインの代わりにインターロイキン10など抑制的なサイトカインを出し、認識をキャンセルできる。
抗原が高容量の場合、樹状細胞は抗原提示をするが、補助受容体を刺激しないため、T細胞の活性化に必要な条件が満たされず、ナイーブT細胞は特異的であるが抗原に対して応答ができない状態になる(アナジー化)。また樹状細胞がFasリガンドを出すことで、特異的T細胞にアポトーシスを起こし応答を防ぐ。
また腸管にはパイエル板と呼ばれる組織がある。
ここで重要な役割を果たしているのが抗原を盛んに取り込むM細胞である。Spi-BはM細胞に特異的に発現する遺伝子で、GP2分子はバクテリアの鞭毛タンパク質FimHを認識することでM細胞の効率的なバクテリアの取り込みに寄与している。GP2はSpi-B依存的な分子である。Spi-Bが欠損していると、サルモネラ菌、エルシニア菌などの腸管病原性細菌がM細胞を介してパイエル板内に侵入するとき、取り込み率が10~20%になる。このようにSpi-B欠損マウスではM細胞が形態的にだけでなく機能的にも欠損している。
しかし、Spi-B欠損マウスにもわずかながらM細胞が見られることから、Spi-B非依存的に分化できるM細胞の存在がわかっている。
腸管免疫はこの他にも鼻腔や乳腺などの異なる粘膜面へ免疫誘導を起こすなどの特徴を持っている。
・粘膜免疫:異なる粘膜面への免疫誘導
経口投与すると消化管、鼻腔、咽頭、乳腺へ誘導できる
経鼻投与すると肺、生殖器へ
経膣投与は例外で、ほかのところにいかない

レクタングル中x2
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